入れ歯のためにも歯ぎしりを改善しよう!歯科でできる治療とは?

歯ぎしりをしていると、歯が損傷したり顎関節症になったりとさまざまな悪影響をもたらします。

これは健全歯だけでなく、人工的な入れ歯を使っている場合でも例外ではありません。

入れ歯を使用しながら歯ぎしりをしてしまうとどんなことが起こるのでしょう。また、歯ぎしりを改善することはできるのでしょうか?

 

 

こんな方は寝ている間に歯ぎしりをしているかも!

歯ぎしりは主に、「無意識」でおこなっていることが多いもの。特に寝ている間に発症している方が多いでしょう。

朝起きたとき、顎や首から肩にかけて重くだるいという方や、痛みを感じる方は、もしかすると寝ている間に強い歯ぎしりをしているからかもしれません。

また、入れ歯をしようしている方にとって、よくない影響が現れてしまうこともあるのです。

 

 

歯ぎしりが入れ歯にとって悪影響を及ぼす理由

歯ぎしりをすることによってもたらされる悪影響について、入れ歯使用者の視点をふまえて考えてみましょう。

 

1.歯がすり減り、入れ歯が合わなくなる

就寝中の歯ぎしりは、起きているときよりも大きな力が加わると言われています。

部分入れ歯を外して寝ている方の場合、残存する歯だけが歯ぎしりの影響ですり減っていきます。そして徐々に入れ歯との高さが合わなくなってしまうのです。

 

2.骨が痩せ、入れ歯が安定しにくくなる

歯ぎしりの際に起こる振動は、歯の根っこを伝って支えている顎の骨(歯槽骨)まで及びます。その影響で骨が破壊され、吸収し痩せてしまうことがあります。

入れ歯を支えるために重要である、顎堤(がくてい)という顎の骨の盛り上がりが扁平になってしまうと、入れ歯の床の部分と安定しにくくなってしまいます。

 

3.ストレスによって唾液が減少、入れ歯が安定しにくくなる

歯ぎしりはストレスが関係して起こる場合もあります。

また、歯ぎしりをしているということ自体でストレスを抱えると、交感神経が優位に働き唾液の分泌が減少。そのことにより顎堤(がくてい)と義歯床のフィット感が失われてしまうのです。

 

4.顎関節症の原因になる

歯ぎしりをすることによって、「顎関節症」を発症する原因となる場合もあります。

夜、寝ている間の無意識の歯ぎしりによる圧力は、起きている間の数倍だといわれています。

そのため知らず知らずのうちに筋肉が疲れて痛くなったり、関節に負担がかかって痛くなったりします。

また、奥歯のすり減りによって噛み合わせが悪くなることも、顎の関節に負担をかける要因のひとつです。

こうなると適切な入れ歯が作りづらくなる原因にもつながってしまいます。

 

 

歯科でできる歯ぎしりの治療とは?かかる費用は?

歯ぎしりを治すのにはどこを受診したらよいか解らないという方も多いでしょう。

実は、すべてではありませんが、歯科医院で歯ぎしりの改善を行っているところもあります。

 

1.入れ歯や詰め物など、噛みあわせを調整する

まずはかかりつけの歯科医院で相談し、現状のずれによる障害を改善しなくてはいけません。

噛み合わせの状態を確認し、入れ歯や詰め物の高さなどで無理のかかっている部分などを調整します。

虫歯治療で入れた修復物(詰め物や銀歯など)が、何年もそのままだという方も多いことでしょう。それらの修復物は時間が経つと徐々に合わなくなり、浮いてきてしまうケースもあります。

そうして高くなった部分が反対の歯に当たって、噛み合わせの悪い状態となり、歯ぎしりを誘発することがあるのです。

その場合は、不良修復物(合わなくなった詰め物や銀歯)を撤去して、作り替えたり、削って歯並びを調整したりする必要があります。

 

2.矯正治療をおこなう

歯並びが悪いことでうまく歯が噛みあっていないために、歯ぎしりの原因になっているというパターンもあります。

矯正治療をおこない噛み合わせが改善されると、自然に歯ぎしりも改善される例もあります。

 

3.歯科でマウスピースを作製し、寝るときに装着する

 

寝ている間に行ってしまう歯ぎしりに気を付けるといっても、なかなか難しいもの。

そこで、就寝時に装着するマウスピースを作成し、歯ぎしりによるすり減りから歯を守る方法があります。保険が適応され、3割負担の方は5000円程度で作製できます。

 

4.経過観察しつつ、噛み締めを弱くするトレーニングを行う

歯ぎしりをしてしまう人は無意識で行っているのですから、日常的に力が入りやすい状態になっています。

そこで、意識的に力を抜くトレーニングを行い、「脱力している感覚」を意識し刷り込むトレーニングを行うという方法もあります。

 

 

自分でもできる歯ぎしり対処法は?

歯科医院でできる歯ぎしり治療だけでなく、自身のちょっとした心がけも歯ぎしり対策に有効な場合があります。

 

1. 枕を高くしすぎない

就寝中の歯ぎしり症状が気になる人は、高すぎる枕に注意しましょう。

枕が高すぎることにより気道を阻害しやすい姿勢になってしまいがちです。そして上顎が下顎に圧力のかかる姿勢になってしまいます。

自然な気道の形を保つ姿勢にするためには、枕を低めのものを選ぶようにしましょう。

そして枕の位置を頭頂部よりも首寄りに当たるようにすると、頭が上を向いて口が自然に開きやすくなる姿勢を保てます。

 

2. 規則正しい生活でストレスを軽減

歯ぎしりの原因のひとつとして「ストレス」が挙げられます。

人はストレスや緊張がかかった状態にあると、気付かないうちに体に力がかかったままの状態になることもあります。

趣味の時間を作ったり、1日のうちにリラックスできる時間作ったりと意識して、ストレス解消法を見つけてみてください。

また、生活習慣を整えることも大切です。過度な飲酒や喫煙などを控え、バランスのよい食生活や規則正しい生活を心掛けるなど、身体の調子を整えることも大切です。

 

3. 上下の歯同士を合わせないよう心がける

日頃から「食いしばり」をしないように意識して生活するのもよいでしょう。

とはいえ、無意識に歯と歯を押し付けてしまうのを、急に止めるのは難しいですよね。意識しても、どうしても止めることが難しいな……という場合には歯科へ行って、歯ぎしり改善のためのマウスピースを製作してもらうのが有効です。

 

4. 睡眠の質を整える

眠りの質が低下すると、眠りが浅いことによる歯ぎしりも起こり得ます。

本来の睡眠力を取り戻すためには、先にもご紹介したような「ストレス」を解消することも大切です。

それ以外にも自分でできる睡眠対策はいろいろあります。

お気に入りのアロマオイルを焚いて寝たり、不眠解消のサプリメントを利用したり、就寝前のパソコンやスマホの利用を控えたり、カフェインの量を控えたりするのも、簡単にできる方法です。

 

5. 心理療法をおこなう

歯ぎしりは悪いことだとわかっていながらついやってしまうという方もいます。

これは、「痛みがあると解っているのに、確認のために傷口を触ってしまう」というような心理状態と同じです。

無意識にクセのようにしてしまうという方は、心理療法も併用して行うほうがいいケースもあります。

 

 

まとめ

入れ歯を使用すると、ただでさえお口周辺は疲れがちに。そこにストレスなどの要因から歯ぎしりが加わると、口内環境がさらに悪化するという悪循環になってしまいます。

歯科をうまく頼って、歯ぎしりを改善して行きましょう。