2017.02.28更新

笑顔の老人男女

 

永久歯の前歯を失ってしまったとき、どのような修復方法がよいでしょうか?インプラントなどに抵抗がある場合、入れ歯にするという選択肢があります。

しかし入れ歯の種類は非常にたくさんあり、どのように選んだらよいか迷ってしまうことも。

そこで、前歯の入れ歯を作る際にチェックしておきたいポイントや、費用相場についてご紹介します。

 

前歯なら、見た目の良さをチェック!

 

前歯はニッコリ笑ったときに見える部分。できれば目立たないようにしたいものですね。

そんな方には審美面が優れた入れ歯を選ばれることをおすすめします。

 

保険の部分入れ歯は金属のクラスプが目立ってしまう

 

保険適応の入れ歯の場合、失った歯の両側の歯に金属のバネ(クラスプ)をかけて固定します。

笑った時など口を開ける際に金属が見える場合が多く、見た目が気になる方にはおすすめできません。

 

薄くてなじむ、違和感の少なさをチェック!

出来上がった入れ歯が天然の歯に比べて厚みがあると、外から見て口元に違和感が出ることもあります。

薄くて違和感の少ない入れ歯にすることは可能なのでしょうか?

 

保険の部分入れ歯は厚みのある素材しか使えない

 

保険適応の入れ歯に使われる素材は、薄く作ってしまうと破損しやすく、歯茎に当たる部分(義歯床)には厚みのある硬い素材のプラスチックしか使えません。

そこで違和感を覚えたり、食事の際にうまく噛めないと感じる方もいます。

 

浮いたりしない、安定感をチェック!

 歯茎やせに悩む男女老人

 

せっかく入れ歯を作っても、顎の骨が痩せてしまっていると入れ歯を支えることが困難な場合があります。

そのような場合でも、しっかり安定させることができる入れ歯があります。

 

保険の部分入れ歯は厚みのせいで浮いてしまいがち

 

保険適応の素材で作られた部分入れ歯は、厚みのせいで安定が難しい場合があります。

特に顎の骨が痩せてしまっている方は義歯床が安定しにくくおすすめできません。

 

前歯におすすめの部分入れ歯をご紹介!

 

それでは、ここまで見てきたチェックポイントを踏まえた上で、前歯におすすめの部分入れ歯をご紹介します。前歯に使用しても見た目や機能的に違和感が少なく、おすすめできる部分入れ歯にはどんなものがあるのかを具体的にご紹介します。

 

スマイルデンチャーが目立たなくておすすめ!

スマイルデンチャーは目立たない

 

金具が目立たず、薄くてぴったりとなじむ前歯の部分入れ歯を求めるなら、スマイルデンチャーがおすすめです。

 

<メリット1>歯茎と同じ色のクラスプなので目立たない

スマイルデンチャーを歯に引っ掛けるためのクラスプ部分は、歯ぐきと同じ色をしています。義歯床部分と同じ素材を加工して作っているのです。

通常の部分入れ歯であれば、口を大きく開けて笑ったときなどに金属のクラスプ(バネ)が目立ってしまいますが、スマイルデンチャーのクラスプであればよほど近づかない限り入れ歯とはわかりにくく、自然な仕上がりです。

 

<メリット2>薄い仕上がりで強度も抜群

スマイルデンチャーに使用される素材はとても強度と柔軟性のある材質です。義歯床を薄く作製することが可能で、口の中にぴったりとなじみます。

薄くて透明感もあるため、歯茎と馴染んだ見た目になり、装着していることに気付かれにくい入れ歯です。

 

<注意点1>後から修復が難しい。大切に使おう!

スマイルデンチャーの素材は柔軟性のがあるということがメリットでもありますが、この材質は床の部分を追加したり人工歯を追加したりすることができません。

そこで、もしもお口に合わなくなってしまった場合、全体的に作り変える必要があります。長く使い続けるためには、乱雑に扱わず、お手入れもしっかりおこないましょう。

 

<注意点2>保険が利かない入れ歯です

スマイルデンチャーは保険外診療の入れ歯になります。修復する歯の本数で金額にも差がありますが、保険の入れ歯よりもかなり高額になりますので、よく説明を受け、納得の上で作製するようにしましょう。

 

下顎の骨がやせてしまっているなら磁石で支えよう

 

安定してしっかり噛める前歯の部分入れ歯を求めるなら、歯の根に磁石を取り付けて固定するマグネットデンチャーが良いかもしれません。

 

<メリット1>磁石で固定して、顎堤が低くても安定させられる

歯の根っこが残っていれば、そこに金属を装着し、入れ歯側にはマグネットを埋め込みます。そして入れ歯を磁力で引き合わせることによって安定させるのがマグネットデンチャーです。

顎の骨が痩せ、歯ぐきの土手が低くなってしまい、入れ歯を安定させるのが難しくなってしまった人でもしっかり安定させることができます。

場合によっては、入れ歯を作り直さなくても、使用していた入れ歯を活用して磁石を埋め込むだけでよい場合もあります。

 

<メリット2>完全に固定するインプラントとは違い、取り外し可能

磁力が引き合うことによってしっかり安定し噛む事ができますが、完全に固定するわけではありません。そこで横から力を加えることによって簡単に外すことができるため、清掃もしやすく、お口を清潔に保つことができます。

 

<注意点1>歯の根が残っていない場合、インプラントとの併用が必要です

この入れ歯は、あくまでも歯の根っこが残っている場合の入れ歯です。歯の根っこに金属を取り付けるため、歯の根が全くない場合はそのままでは使えないのです。

そういった場合、インプラント手術で土台を顎堤に埋め込み、インプラントの先に金属を取り付けることもあります。インプラント埋入のための手術と、それに伴う金銭的・肉体的負担が伴います。

 

<注意点2>磁石による影響が考えられる場合は外しましょう

マグネットデンチャーには磁石を使用しているため、磁場による問題が起こらないとも限りません。これまでに問題が起きたという報告はありませんが、MRIなどを受ける場合には、検査前に入れ歯を外すか、主治医に相談してから受けるようにしましょう。

 

気になる費用は?

費用が気になる女性

 

見た目や機能性が優れた入れ歯が良いと言っても、「費用はどれくらいかかるのか」というところも気になるところではないでしょうか。

入れ歯ごとのおおまかな費用をご紹介します。

 

保険の入れ歯は比較的安価

 

見た目や操作性よりも、まずは価格を抑えたいという場合は、保険適応の入れ歯が比較的安価で製作できます。

修復本数等によりますが、5000円~13000円程度です。

 

スマイルデンチャーは自費診療

 

スマイルデンチャーは保険適応外のため、自費診療の入れ歯です。

歯科医院によって価格設定が変わりますが、片側でおおむね10~20万円くらいです。

 

まとめ

カフェのイラスト

 

入れ歯は保険適応であるか否かで、かかる金額が大きく違います。

金額だけで考えれば、保険適応の入れ歯がお手頃な価格です。

しかし修復箇所が前歯であれば、審美性や装着時の違和感なども気になるところ。

人の第一印象は「表情」とも言われます。

入れ歯を気にせず笑顔で過ごすために、自費診療の装置も含めて検討されてみてはいかがでしょうか?

2017.02.28更新

少数のインプラントで支える総入れ歯

たくさんの歯を失った場合、総入れ歯にせざるを得ないケースがほとんどです。

しかし、その結果以前のようにしっかりと噛むことができなくなり、入れ歯になかなか馴染めずお困りの方もいらっしゃることでしょう。

そこで今回は、しっかり噛めるようになりたい方におすすめの総入れ歯「オーバーデンチャー」の特徴やメリットなどを詳しくご紹介します。

 

 

オーバーデンチャーとは

歯茎に残った歯の根っこや、埋め込んだインプラントを支えにして、取り外し式の総入れ歯を装着する方法です。

土台があることで通常の総入れ歯よりもしっかり固定されますし、取り外してメンテナンスすることも可能です。

インプラントと入れ歯の長所を併せ持った装置といえるでしょう。

 

 

オーバーデンチャーのメリット

オーバーデンチャーは、普通の入れ歯に比べてどのように優れた面があるでしょうか。

メリットを詳しくご紹介します。

 

 

1.入れ歯が安定し、しっかり噛むことができる

食事シーンのイメージ写真

顎堤(歯茎の土手の部分)に入れ歯を固定する装置をつけるため、歯ぐきに乗せるだけで固定する通常の総入れ歯よりも安定性がよい入れ歯です。

 

 

2.最小限のインプラント外科手術で広い範囲を補うことができる

通常のインプラントの場合、1本に対して1つの土台を要しますが、

この装置は数本の支えだけで広い範囲の歯を補えるため、1本ずつインプラントにするよりも手術が少なくて済みます。

経済的にも身体的にも負担を軽減することが可能です。

 

 

3.顎の骨に刺激が伝わり退縮を抑制する

オーバーデンチャーを固定する土台は、骨に埋入されています。

乗せるだけの入れ歯に比べて刺激が骨にきちんと伝わり、顎骨の吸収を抑えられるという効果が生まれます。

 

 

 

オーバーデンチャーの種類

オーバーデンチャーは、固定する部分の形状の違いなどからいくつかの種類に分かれており、お口の状態によって使い分けられます。 

 

ボールタイプ

入れ歯と接する土台の先端がボール状になっており、

入れ歯側の金属にピッタリ合う金具を付けてホックのように固定する方法。

取り外しが可能です。

 

 

バータイプ

埋め込まれた2つの土台をバーで接続。

それをクリップで挟むような状態で歯側に装着します。

自分では取り外せないほど強固に連結されることが多いので、なかなか外しにくい装置です。

 

 

磁石(マグネット)タイプ

土台の先端に磁性金属、入れ歯側に小型磁石を装着する方法です。

入れ歯を乗せると自動的に磁力で引き合い固定される仕組みになっている装置。

自分で取り外すことが可能です。

 

 

オーバーデンチャーにするまえに知っておきたいこと

知っておきたいこと

オーバーデンチャーを作製する前に、デメリットもきちんと理解しておきましょう。

自身のお口の状況に合っているのかの参考になります。

 

 

外科手術が必要になることもある

土台としてインプラントを使用する場合は、埋入のための外科手術が必要です。

普通の入れ歯を作るときよりも、費用や身体的負担は増えることになります。

 

 

インプラントと入れ歯、両方のお手入れがかかせません

入れ歯も土台も手入れが肝心

入れ歯だけでなく、インプラントなどの土台の管理にも気を配らなければなりません。

入れ歯を清潔に保ち、定期的に調整して使用することはもちろんですが、

インプラント周囲炎などのリスクがあるため、土台部分も定期健診で管理してもらうようにしましょう。

 

 

オーバーデンチャー作製の流れ

入れ歯の作製に至るまでは、おおむね普通の入れ歯と同じです。ただしオーバーデンチャーを作製するためには歯茎に土台を作る工程があり、その方法が2つあります。歯の根っこを利用できる場合と、歯の根っこが無い場合の治療法です。

それぞれどのような流れで作製するのかをご紹介します。

 

 

1.オーバーデンチャー作製前に必要な準備

オーバーデンチャーの作製には、すぐに取り掛かれるわけではありません。

多くの歯を喪失しているということは、口腔内の状態が良くない可能性があります。

そこで、まずはお口の状態の確認をおこないます。残存する歯の状態(残せる状態なのかどうかなど)を確認するためにX線(レントゲン)等を用いて、歯の根っこや顎の骨を検査します。

また、金属アレルギーなどは無いか、歯ぐきなどの粘膜の健康状態は良好かどうかなど、さまざまな細かい確認作業をおこない、オーバーデンチャーを入れるにあたって問題が無いか確認するのです。

 

 

2.問題があれば治療をおこなう

もしも歯周病がある場合は歯肉の炎症を改善するように歯磨き指導をおこないます。また、残存している歯の状態によっては、神経の治療を行います。状態が悪い場合は抜歯をおこなうこともあります。

このように、お口の中を健康にするための治療が必要な場合は、治療を先におこないます。

 

 

3.オーバーデンチャー装着のための土台形成をおこなう

 

歯の根っこが利用できる場合

残せる状態の歯根があれば、形を整え、根っこの中の清掃を行います。万が一、歯の根の先に膿が溜まっているような状態であれば、先に根っこの治療を行います。

根の状態を整えたら、オーバーデンチャーの土台となる歯の根の上部に金属製の小さなキャップを被せます。

 

歯の根っこが残せない場合

歯の根っこを歯ぐきの中に残せないほど損傷している場合、歯の根っこの代わりにインプラントで土台を作成します。よってこの場合、インプラント埋入手術が必要になります。

インプラントの土台埋入後、インプラントの先端に金属製の小さなキャップを被せ、土台とします。

 

 

4.歯の模型作製のための歯型取りをおこなう

ガム状の歯科材料(印象剤)で上下の歯型を取ります。それをもとに石膏で歯型を作製し、技工士(又は技工所)へ入れ歯作製を依頼します。

 

 

5.噛み合わせの確認をおこなう

入れ歯作製前のお口の状態に合わせてオーバーデンチャーを作製するため、上下の顎の位置を確認し、パラフィンワックスを噛んでもらい、現在の噛み合わせを確認しておきます。

 

 

6.入れ歯の完成後の流れ

入れ歯が完成したら患者様に来院していただき、お口に装着します。

完成までに歯列や噛み合わせに動きがあるときっちり適合しない場合もあるため、微細な修正をしながら装着し、メインテナンス方法などを歯科従事者より指導します。

 

 

まとめ

オーバーデンチャーはたくさんの歯を失ってしまった方にとって、とても優れた方法です。

ただし通常の総入れ歯とは、作製過程や管理方法など異なることも多々あります。

インプラントと入れ歯の両方に精通した歯科医院を選び、

作製後・使用中もしっかりアフターケアを行ってもらえるようにしたいものです。

2017.02.28更新

入れ歯と発音の悩み

入れ歯を使いはじめると、ほとんどの方は「以前よりも話しにくくなったような気がする」という感想を持ちます。

この違和感は、時間の経過とともにお口に馴染み、薄れていくこともありますが、一向に改善されずにお悩みの方もいるでしょう。

そこで今回は、自分でもできる発音の克服方法と、歯科医院でできる改善方法をご紹介します。

 

 

入れ歯で発音が苦手になる2つの原因

はじめに、「なぜ入れ歯を入れると発音しにくくなってしまうのか」を考えてみましょう。

これには主に2つの原因が関係していると考えられています。

 

 

1.前歯同士の隙間のサイズが変わる

上下の前歯の位置が重要

入れ歯を使用しながら会話する際、難しい発音は「Sh」や「Th」です。

これらは「歯擦音」と呼ばれ、下顎を前下方に出しながら絶妙に隙間を使い、息が漏れることにより出せる音です。

この音は、入れ歯を入れることによって顎の位置関係が若干ずれただけでもうまく発音できないのです。

 

 

2.舌が動くためのスペース(舌房)が変わる

口をあけた女性の写真

歯の内側、舌が動くためにあるスペースを「舌房」といいます。

滑舌という言葉があるように、発音には「舌」の動きも重要な役割を担っており、このスペースは発音するために重要なスペースです。

入れ歯を入れると、歯ぐき部分を覆う義歯床の厚みによって、天然歯のときよりも舌房が狭くなり、発音がしづらくなってしまいます。

 

 

自分でできる発音トレーニング!

入れ歯が極端に合っていないようなことでなければ、入れ歯に慣れることと自己トレーニングで克服することも可能です。

 

 

1.会話を録音して不自然な音を確認しよう

 ボイスレコーダー写真

入れ歯は慣れるまでに1~2週間は時間を要します。

まずは自分の発音をよく聞いてみること。家族や親しい友人など、

指摘してもらいやすい間柄であれば協力を促したり、録音した自分の声を聞いてみたりして、

どの音を出すのが苦手なのか客観的にチェックしてみるのもよいでしょう。

 

 

2.苦手な音をどんどん声に出して練習しよう

不得意な音が判ったら、繰り返し発音練習を重ねます。

その際には、普段より少しだけ力を入れて発音するように心がけてみてください。

発音練習しつつ、口の筋肉のトレーニングにも繋がります。

 

 

3.口を大きく開け閉めして、口の筋肉のストレッチをしよう

発音には口の柔軟性も大きく関わります。

入れ歯が一日も早くお口に馴染むためにも、口の筋肉を柔らかくすることも大切です。

発音のトレーニングに併せて、口を大きく開け閉めするストレッチも取り入れましょう。

 

 

歯科での入れ歯の調整も忘れずに!

歯科治療中の写真

入れ歯を入れてからしばらくの間は、どうしても違和感を覚えることが多いです。

しばらく使用していれば馴染むことがほとんどですが、お口にきちんと合っていない場合も考えられます。

そこで、入れ歯を作ってからしばらくの間は、調整のために何度か通院する必要があります。

 

 

1.痛みがあって発音に支障がでる場合

入れ歯は柔らかい歯ぐきの粘膜に乗せて固定する装置です。

口を動かすことによって入れ歯が動いたり、粘膜が退縮したりすればズレが生じてしまうため、

口に入れてみなければ適合するかがわからない部分もあります。

入れ歯が当たって痛みを感じたり、潰瘍ができたりする場合には、当たらないように削って調整します。

 

 

2.厚みのせいで舌が動かせず発音の妨げになる場合

発音の障害となっている部分があれば削って薄くしてもらうこともあります。

しかしあまり薄くしすぎると、今度は強度が足りなくなって破損の原因にもなるので注意が必要です。

 

 

発音重視で薄い入れ歯を作りたい…オススメは金属床の総入れ歯!

入れ歯の使用によって発音に支障がでるのではと不安な方、または現在使っている入れ歯の厚みになかなか馴染めない方におすすめなのが、口内の上部、上顎部分に接する「義歯床」の部分が金属でできている金属床総入れ歯です。

 

 

金属床総入れ歯のメリット

 

1.舌の動きを邪魔しにくい

「言葉を発音する」という行為には、舌がどれだけスムーズに動くかということが重要です。上あごの部分である「口蓋」に舌を当てて発音する言葉も多くあります。

お口の中はデリケートですから、少し空間の広さが変わるだけで、舌がうまく動かず、発音しにくくなってしまいます。

保険適用の入れ歯の床は、厚みがあるため口内の空間が狭くなり、発音しづらくなりがちです。

しかし、金属床総入れ歯であれば床をかなり薄く仕上げることができるため、舌の動きを邪魔しにくく、発音を妨げることはあまりありません。

 

2.熱伝導がよく、食事も美味しい

保険適用の入れ歯で使われる「レジン床」は、熱伝導率が悪く、食事の味を感じにくくなることがあります。

金属床総入れ歯は熱伝導率がよく、「熱い」「冷たい」などの食感も感じることができますので、通常のレジン床義歯に比べて食事も美味しく感じられます。

 

3.汚れが付きにくい

レジン床は性質上、細かい傷が付きやすく、そこに細菌がたまって繁殖しやすくなってしまいます。清掃を怠ると歯垢などがこびりつき、歯ブラシで清掃しても落ちなくなってしまうため、そうなる前に毎日の細かな清掃がかかせません。

それに比べると金属床の表面には汚れが残りにくく清掃しやすいので、清潔に保ちやすく取り扱いが簡単です。

 

4.割れたり変形したりしにくい

通常の保険の入れ歯は「レジン」というプラスチックが使用された材質であるため、割れやすいというデメリットがあります。

それに比べて金属床義歯は床の大部分が金属でできていますので、全体がレジンでできた入れ歯に比べると破損しにくく丈夫です。

また、熱などによる変形も少ないので、長期間同じ入れ歯を愛用できるでしょう。

 

 

金属床総入れ歯の注意点

 

1.保険は使えず自費診療となる

金属床にする場合は自費扱いとなり、金額設定は歯科医院によって異なります。

保険適用のレジン床義歯に比べて値段が高くなりますので、かかりつけの歯科医院で確認してから作製してもらうようにしましょう。

 

2.修理が比較的難しい

もし入れ歯がお口に合わなくなってきたとき、レジン床の入れ歯は、歯科診療台にある器械を用いてある程度調整が可能です。

しかし金属の板状にできている金属床の場合、金属部分を追加したりすることができないため、レジンを盛り足す等で対処します。それでは本来の薄い作りである金属床が意味をなさないため、修理ではなく作り変えになってしまう場合もあります。

  

まとめ

入れ歯イメージ写真

入れ歯は、抜け落ちてしまった歯を修復する大切な装置です。

口の中にとっては異物ですから、はじめは大変かもしれません。

しかし慣れてくると、無くてはならない装置になります。

ただ入っていればよいというわけではなく、自分にピッタリ適合した、機能的にも問題のない入れ歯でなくては意味がありません。

そのためには定期的な検診を受けて、メンテナンスを継続することが大切です。

2017.02.28更新

「あの人、入れ歯にしてから顔が変わったよね」という言い方を耳にしたことはありませんか?

特に女性はこのような審美面の不安から、入れ歯にすることに抵抗を感じる人も少なくないでしょう。入れ歯を入れることで本当に顔が変わってしまうことがあるのでしょうか。

また、その原因は何なのでしょうか? 今回は、「入れ歯にすると顔が変わる」と言われてしまう理由や、それを防ぐためにご自身で気をつけるべきことなどをご紹介します。

 

入れ歯のせいで顔が変わるって本当?どうして?

 

もしかして入れ歯のせい? 

 

ご自身のお口に合わない入れ歯を使っていたり、厚みのある入れ歯を使用したりすると、見た目に変化が現れやすくなるようです。

 

1. 筋肉の使い方が変わる

 

合わない入れ歯を使用していると、入れた部分の筋肉がうまく使われずに衰えてしまうことや、逆に今まで使っていなかった筋肉が使われるようになることもあります。

このような変化が顔の歪みを生んでしまうことも……。 また、筋肉のバランスが変わることで入れ歯自体も安定しにくくなってしまいます。

 

2. 刺激が届かない骨が退縮する

 

入れ歯の噛みあわせが悪く、物を噛むときの刺激がうまく骨に届かなくなると、骨が退縮してしまいます。 骨が衰えると、口の周りにシワができたり、くぼんだように見えてしまったりする原因になるのです。

 

3. 厚みのある入れ歯は盛り上がって見えるかも……

 

保険適用の入れ歯を作る場合、歯茎部分の素材はプラスチックしか使えません。強度を出すためにはどうしても厚みがある作りになってしまうので、若干口元が盛り上がって見えることもあります。

 

4.義歯の色が顔色から浮いてしまっている

 

保険の範囲で作製する入れ歯は、保険のルールで決められた素材を使用しないと製作できません。よって微細な色の調整にも限界があり、歯肉の色合いや顔色に似合わないような入れ歯の色に仕上がってしまう可能性もあります。

すると、笑ったときの顔の印象が、以前と異なって見えてしまうのです。

 

変化を最小限に抑えたい!気をつけるべき3つのこと

 

見た目の変化を抑えるポイント

 

さて、これまで挙げたことを防ぐためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか?

 

1. 抜けっぱなしの期間を作らない

 

歯が抜けている時間が長いと、そのぶんお口に現れる変化が大きくなるため、見た目の印象も変わりやすくなります。歯が抜けてしまったら1日も早く歯科医院に相談しましょう。

 

2. 顔のハリを保つためのストレッチを!

 

歯が抜けてしまってから入れ歯が出来上がるまでの期間や、まだ入れ歯に慣れていないとき、うまく噛めないからといって片側だけで噛んだりしていると、お口周囲の筋肉が衰えてしまいます。 表情筋や咀嚼筋が動くように、顔のストレッチを取り入れてみるとよいでしょう。

 

3. 自費も視野に入れ、自分に合った入れ歯を作ろう!

 

保険適用の入れ歯は噛む力が弱く、筋肉や骨へ刺激が届きにくくなるため、口元が衰えやすくなります。

素材も厚みがあるので、外から見たときに口が盛り上がって見えてしまう可能性も。

自費の入れ歯なら、保険適用のものよりも薄くて丈夫な素材を使って、多くの工程を費やして作製します。

よりご自分のお口に合った入れ歯が手に入るので、素材の厚みや噛み合わせの悪さによる見た目の変化も防ぐことができるのです。

 

自費の入れ歯は保険とどこが違う?

 

では具体的に、自費の入れ歯は保険で製作する入れ歯とどこがどう違うのでしょうか。

表情などの見た目を維持するために自費の入れ歯にすることを視野にいれてらっしゃる場合、参考にしてみてください。

 

1.使える素材の種類

 

保険の範囲で製作する入れ歯は、使用する素材が限定されています。そのため、限られた素材で強度を出すためにどうしても厚みが出てしまったり、自身の歯や歯茎との色合いが合わなかったりといった、不具合が生じやすいのです。

 

しかし自費で入れ歯を作る際には、保険のルールに縛られない素材選びが可能です。

上あごと接する部分を金属で製作したものや、薄くて柔軟性を持つナイロン樹脂を使用した入れ歯など、さまざまな素材で優れた入れ歯を製作することができます。

 

これらを使用することで、厚い入れ歯で歯ぐきが盛り上がって見えたり、舌の動きが制限されて発音障害が起こったり、筋肉がうまく使えず衰えてしまったりという弊害を予防することにもつながります。

ひいてはこれが、入れ歯を長く使うことにもつながるのです。

 

2.作製に費やす工程の数

 

入れ歯の保険適用・適用外の違いは、素材や金額の差だけではありません。

実は自費で作製する入れ歯は、製作工程で倍以上の手間が掛かっています。歯列の型取りや噛み合わせの確認など、保険内の入れ歯は約23工程を踏んで製作するのですが、自費の入れ歯はなんと約52工程をも経て製作されます。それだけ工程を細かくし、違和感の少ない精密な入れ歯を作製しているのです。

ですから自費の入れ歯であれば、もとの顔の印象に限りなく近い入れ歯が作製可能ということにつながるのです。

 

3.前回の作製から半年以内でも作り直しが可能

 

保険の入れ歯は、たとえば「保険で3か月前に作った入れ歯がどう調整しても合わないのですぐに作り直したい!」と思っても、作ることができません。保険を使った製作から半年間は、再度保険を使って入れ歯を作ることができないルールになっているのです。

調整は可能ですが、適合感に納得いかない場合はこまめに何度も調整に通うことになってしまいます。

自費で作る入れ歯であれば、半年経過していなくても作り直しが可能ですので、どうしてもお口に合わない場合にはすぐに対応可能できるメリットがあります。

 

抜けたまま放置するのが最も良くない!

 

抜けたまま放置するのが最も良くない!

 

顔の変化を防ぐために、歯が抜けたままの期間を作らないことが重要だと述べましたが、歯を抜けっぱなしにしておくことで、他にもさまざまな悪影響があるのです。

 

1.噛み合わせの悪さが口腔環境も悪くする

 

抜けた歯の両側は支えが無くなると空間部分に向かって傾いてしまい、全体的に歯並びが変わってしまいます。

歯並びが乱れると汚れが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病になりやすい環境になってしまうのです。

また、歯が抜けた部分から息が漏れ、会話の際に上手に発音しにくくなるなどの弊害も生まれます。

 

2.残存歯だけで噛む癖がつき、歯の寿命を縮めてしまう

 

残存している歯だけで食事をしていると、その歯だけに部分的に大きな負荷がかかってしまいます。咬合力は本来、歯対歯でバランスよくおこなうものですから、負担の大きい歯は歯の根っこが吸収されてしまったり、破折を招いたりするケースがあります。そしてそのことによって、残っている歯の寿命を縮めてしまうことにもなりかねないのです。

 

3.残存歯だけで噛み続けると、顎の位置が変化することがある

 

歯が無い部分はどうしても噛み辛いので避けてしまったりします。例えば奥歯だけ・前歯だけといったように噛みやすい偏った場所で食事をしていると、そのために顎の動きが歪んでしまい、顎が前に出てきてします場合があります。

顎のズレは顎関節症の原因にもなりますし、見た目にも顔が歪んでしまい、表情が変わって見えてしまうことにも繋がります。

 

4.全身の健康にも様々な悪影響が……

 

噛み合わせのバランスが変わることで全身のバランスにも影響を及ぼし、顎関節症や肩こり、頭痛、腰痛などの原因にもなります。

さらに、食べ物を充分に咀嚼できないと、消化器官に負担がかかってしまうなど、全身の健康にも様々な影響をもたらします。

 

入れ歯症例が豊富な歯科に、早急に相談しよう!

 

入れ歯によるご相談は早めに

 

口元は、ほんのわずかな変化でもずいぶん表情が変わって見えます。特にくぼみやたるみがあると、年齢よりも老けて見えやすくなるという傾向にあります。

自分の歯があった頃の表情と違和感が無い入れ歯を作るには、入れ歯作りに定評があり、しっかりとカウンセリングを行ってくれる歯科に相談しましょう。

また、お口の筋肉を維持するための努力や、1日でも早く義歯を作れるように通院を怠らないなど、ご自身の心がけも大切なのです。

2017.01.12更新

入れ歯と歯ぎしり

歯ぎしりをしていると、歯が損傷したり顎関節症になったりとさまざまな悪影響をもたらします。

これは健全歯だけでなく、人工的な入れ歯を使っている場合でも例外ではありません。

入れ歯を使用しながら歯ぎしりをしてしまうとどんなことが起こるのでしょう。また、歯ぎしりを改善することはできるのでしょうか?

 

 

こんな方は寝ている間に歯ぎしりをしているかも!

その不調は歯ぎしりが原因かもしれない

歯ぎしりは主に、「無意識」でおこなっていることが多いもの。特に寝ている間に発症している方が多いでしょう。

朝起きたとき、顎や首から肩にかけて重くだるいという方や、痛みを感じる方は、もしかすると寝ている間に強い歯ぎしりをしているからかもしれません。

また、入れ歯をしようしている方にとって、よくない影響が現れてしまうこともあるのです。

 

 

歯ぎしりが入れ歯にとって悪影響を及ぼす理由

歯ぎしりをすることによってもたらされる悪影響について、入れ歯使用者の視点をふまえて考えてみましょう。

 

1.歯がすり減り、入れ歯が合わなくなる

歯が磨り減ってしまう

就寝中の歯ぎしりは、起きているときよりも大きな力が加わると言われています。

部分入れ歯を外して寝ている方の場合、残存する歯だけが歯ぎしりの影響ですり減っていきます。そして徐々に入れ歯との高さが合わなくなってしまうのです。

 

2.骨が痩せ、入れ歯が安定しにくくなる

歯ぎしりの際に起こる振動は、歯の根っこを伝って支えている顎の骨(歯槽骨)まで及びます。その影響で骨が破壊され、吸収し痩せてしまうことがあります。

入れ歯を支えるために重要である、顎堤(がくてい)という顎の骨の盛り上がりが扁平になってしまうと、入れ歯の床の部分と安定しにくくなってしまいます。

 

3.ストレスによって唾液が減少、入れ歯が安定しにくくなる

お口がパサパサ

歯ぎしりはストレスが関係して起こる場合もあります。

また、歯ぎしりをしているということ自体でストレスを抱えると、交感神経が優位に働き唾液の分泌が減少。そのことにより顎堤(がくてい)と義歯床のフィット感が失われてしまうのです。

 

4.顎関節症の原因になる

歯ぎしりをすることによって、「顎関節症」を発症する原因となる場合もあります。

夜、寝ている間の無意識の歯ぎしりによる圧力は、起きている間の数倍だといわれています。

そのため知らず知らずのうちに筋肉が疲れて痛くなったり、関節に負担がかかって痛くなったりします。

また、奥歯のすり減りによって噛み合わせが悪くなることも、顎の関節に負担をかける要因のひとつです。

こうなると適切な入れ歯が作りづらくなる原因にもつながってしまいます。

 

 

歯科でできる歯ぎしりの治療とは?かかる費用は?

歯ぎしりを治すのにはどこを受診したらよいか解らないという方も多いでしょう。

実は、すべてではありませんが、歯科医院で歯ぎしりの改善を行っているところもあります。

 

1.入れ歯や詰め物など、噛みあわせを調整する

まずは歯科医に相談

まずはかかりつけの歯科医院で相談し、現状のずれによる障害を改善しなくてはいけません。

噛み合わせの状態を確認し、入れ歯や詰め物の高さなどで無理のかかっている部分などを調整します。

虫歯治療で入れた修復物(詰め物や銀歯など)が、何年もそのままだという方も多いことでしょう。それらの修復物は時間が経つと徐々に合わなくなり、浮いてきてしまうケースもあります。

そうして高くなった部分が反対の歯に当たって、噛み合わせの悪い状態となり、歯ぎしりを誘発することがあるのです。

その場合は、不良修復物(合わなくなった詰め物や銀歯)を撤去して、作り替えたり、削って歯並びを調整したりする必要があります。

 

2.矯正治療をおこなう

歯並びが悪いことでうまく歯が噛みあっていないために、歯ぎしりの原因になっているというパターンもあります。

矯正治療をおこない噛み合わせが改善されると、自然に歯ぎしりも改善される例もあります。

 

3.歯科でマウスピースを作製し、寝るときに装着する

 

歯ぎしり用のマウスピース

寝ている間に行ってしまう歯ぎしりに気を付けるといっても、なかなか難しいもの。

そこで、就寝時に装着するマウスピースを作成し、歯ぎしりによるすり減りから歯を守る方法があります。保険が適応され、3割負担の方は5000円程度で作製できます。

 

4.経過観察しつつ、噛み締めを弱くするトレーニングを行う

歯ぎしりをしてしまう人は無意識で行っているのですから、日常的に力が入りやすい状態になっています。

そこで、意識的に力を抜くトレーニングを行い、「脱力している感覚」を意識し刷り込むトレーニングを行うという方法もあります。

 

 

自分でもできる歯ぎしり対処法は?

歯科医院でできる歯ぎしり治療だけでなく、自身のちょっとした心がけも歯ぎしり対策に有効な場合があります。

 

1. 枕を高くしすぎない

就寝中の歯ぎしり症状が気になる人は、高すぎる枕に注意しましょう。

枕が高すぎることにより気道を阻害しやすい姿勢になってしまいがちです。そして上顎が下顎に圧力のかかる姿勢になってしまいます。

自然な気道の形を保つ姿勢にするためには、枕を低めのものを選ぶようにしましょう。

そして枕の位置を頭頂部よりも首寄りに当たるようにすると、頭が上を向いて口が自然に開きやすくなる姿勢を保てます。

 

2. 規則正しい生活でストレスを軽減

ストレス対策で歯ぎしりが治まることも

歯ぎしりの原因のひとつとして「ストレス」が挙げられます。

人はストレスや緊張がかかった状態にあると、気付かないうちに体に力がかかったままの状態になることもあります。

趣味の時間を作ったり、1日のうちにリラックスできる時間作ったりと意識して、ストレス解消法を見つけてみてください。

また、生活習慣を整えることも大切です。過度な飲酒や喫煙などを控え、バランスのよい食生活や規則正しい生活を心掛けるなど、身体の調子を整えることも大切です。

 

3. 上下の歯同士を合わせないよう心がける

日頃から「食いしばり」をしないように意識して生活するのもよいでしょう。

とはいえ、無意識に歯と歯を押し付けてしまうのを、急に止めるのは難しいですよね。意識しても、どうしても止めることが難しいな……という場合には歯科へ行って、歯ぎしり改善のためのマウスピースを製作してもらうのが有効です。

 

4. 睡眠の質を整える

眠りの質が低下すると、眠りが浅いことによる歯ぎしりも起こり得ます。

本来の睡眠力を取り戻すためには、先にもご紹介したような「ストレス」を解消することも大切です。

それ以外にも自分でできる睡眠対策はいろいろあります。

お気に入りのアロマオイルを焚いて寝たり、不眠解消のサプリメントを利用したり、就寝前のパソコンやスマホの利用を控えたり、カフェインの量を控えたりするのも、簡単にできる方法です。

 

5. 心理療法をおこなう

歯ぎしりは悪いことだとわかっていながらついやってしまうという方もいます。

これは、「痛みがあると解っているのに、確認のために傷口を触ってしまう」というような心理状態と同じです。

無意識にクセのようにしてしまうという方は、心理療法も併用して行うほうがいいケースもあります。

 

 

まとめ

入れ歯を使用すると、ただでさえお口周辺は疲れがちに。そこにストレスなどの要因から歯ぎしりが加わると、口内環境がさらに悪化するという悪循環になってしまいます。

歯科をうまく頼って、歯ぎしりを改善して行きましょう。

2017.01.11更新

入れ歯だけど快適

重度の歯周病の進行によって歯を失い、入れ歯を入れることになった方の中には、保険適応の入れ歯が安定しにくくて困っているという方も多いのではないでしょうか?

なぜそのようなことが起こるのでしょう。また、どうすれば安定した入れ歯を入れることができるのでしょうか?

 

 

歯周病が重症化して歯を失うと、入れ歯が安定しにくい?

1.なぜ歯周病で歯が抜け落ちてしまうのか

歯を支える骨が溶けてしまう

歯周病は、歯を支える歯周組織が細菌の塊である歯垢の慢性的な付着によって炎症することによって始まります。

最初は歯ぐきの腫れと出血から始まる歯肉炎を発症し、やがて歯周炎へと進行。重症化すると歯槽膿漏となり、歯の根元に膿が溜まるようになります。

この病巣である膿によって、周りで歯を支えている骨が溶かされ、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

 

2.入れ歯を支えるための「顎堤(がくてい)」の重要性

入れ歯を安定させる顎提の重要性

このように歯周病が原因で歯を失って入れ歯を作成する場合、骨が溶かされていることが多く、歯ぐきの土手部分である「顎堤(がくてい)」が減っている方が多く見られます。

保険適応の入れ歯は、顎堤の盛り上がった形状と、入れ歯の義歯床という部分を吸着する力で安定感を図り、固定する方法のため、顎堤が減っていると入れ歯がフィットしにくく安定しにくい原因となってしまいます。

 

 

顎堤(がくてい)が薄い方が入れ歯を快適に使うには?

歯を支える顎骨が減ってしまった状態の方でも、入れ歯を安定させることのできるよい方法はないのでしょうか?

 

1.まずは徹底的に入れ歯を調整してもらおう

まずは調整を

合わない入れ歯を我慢して使用する必要はありません。

不具合がある場合はまず、入れ歯を作成した歯科医院で納得いくまで調整してもらうようにしましょう。

 

2.入れ歯安定剤を正しく使おう

入れ歯安定剤を正しく使おう

顎堤と入れ歯を接着する作用のある「入れ歯安定剤」が市販されています。 よほどズレが大きい場合でなく、外れやすいなどの軽い不都合であれば、用法・容量を守り使用するのもひとつの方法です。

入れ歯安定剤にもさまざまな種類がありますから、使うべき種類や適切な使い方についても歯科医に相談してみてくださいね。

 

3.口腔内を清潔にし、さらなる吸収を防ごう

入れ歯も口内も清潔に

入れ歯と顎堤の間に汚れが溜まったままになっていると、お口の中に常在している歯周病菌が繁殖して、歯ぐきの炎症を引き起こしてしまいます。

すると今よりもさらに顎骨が吸収され、顎堤が低くなれば、入れ歯がますます安定しにくくなります。

入れ歯と口腔内は毎日洗浄し、お口の中を清潔に保つようにしましょう。

 

 

もしも入れ歯を作り替えるなら?

入れ歯の作り替えを考えている

どんなに調整や努力をしても入れ歯が安定しない場合は、入れ歯本体の作り替えが必要になることもあります。

今後同じような不便さを感じないようにするためには、どんな入れ歯を作成すればよいのでしょうか?

 

1.マグネット式入れ歯

歯の根に磁石を埋めて固定

入れ歯の床の部分にマグネットを取り付けます。

そして歯の根っこが残っていればそこに金属を取り付け、磁力によって入れ歯を吸着させる力で安定を図る方法です。

入れ歯自体を作り替えなくても、既存の入れ歯を加工して使用できる場合もあります。

 

2.インプラント併用入れ歯

すべて歯を失ってしまった状態の場合、顎の骨にインプラントを数本埋め込み、そのインプラントを土台として入れ歯を固定する方法です。

土台にするインプラントは骨の比較的多い部分に埋め込むため、ほとんどの場合施術が可能です。

どうしても骨が少ない場合には、人工骨を移植してから行う方法もあります。

 

 

まとめ

歯周病で顎骨が薄くなった場合、入れ歯が安定しにくいことが多いのは事実です。

しかし調整や作り替えをする以外にも、現代の最新技術で安定感のある入れ歯も開発されています。不安定な入れ歯でお悩みの際には、無理して使い続ける必要はありません。ぜひ歯科に相談してくださいね。

2017.01.10更新

抜けたままは禁物

歯を喪失した部分の修復方法にはいくつかありますが、その中でも入れ歯は保険で作れるということもあり、根強い人気のある方法です。

しかし中には、せっかく入れ歯を作ったのに使っていないという声も耳にします。装着しないまま過ごしていると、大変なデメリットにつながってしまうこともあるのです。

一体どのような弊害が起こるのでしょうか?

 

 

入れ歯を作ったけど使っていない、その理由とは?

なぜ、せっかく作った入れ歯を使わなくなってしまうのでしょうか?

使わなくなってしまった経緯や問題を見出すことから、解決策に繋げていくことができるかもしれません。

 

1.初めて入れた時から違和感があり馴染めないから

ぬぐえない違和感がある

お口の中の感覚は、とても繊細です。若干のかみ合わせのズレでも違和感を覚えることがあります。ですから「初めての入れ歯」となれば、どうしても違和感を強く感じがちです。

特に保険適用で製作した入れ歯は、厚みのある素材でしか作らざるを得ず、異物感が大きくなってしまいます。

 

2.反対側で問題なく噛むことができるから

食事に不便を感じない

部分入れ歯の場合、失った歯が少数であったり、片側だけだったりすると、残った歯や反対側の同じ機能の歯で噛むことができるため、何不自由なく食事ができてしまいます。

そこに装着時の異物感が重なることで、日常的に外したままでも困らないからと、そのまま生活しているという人もいるようです。

 

3.噛むたびに痛み、入れられなくなってしまったから

入れ歯を使うと痛みを感じる

合わない入れ歯を調整せずに使用していると、入れ歯がずれたり金属バネが緩んだりして、粘膜を傷つけてしまうことがあります。

噛むたびに入れ歯が当たって痛みを感じるため、外して食事をするようになり、そのまま時が経ち口腔環境が変化し、最終的には嵌らなくなるということもあります。

 

 

歯が抜けた場所をそのままに過ごすデメリット

さまざまな事情から、せっかく作った入れ歯を使わなくなってしまうケースがあるようですね。

しかし、たとえ1本でも歯が喪失した状態のまま日常生活を過ごしていると、お口の中だけでなく全身にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

1.ほかの歯に力が加わり、歯の寿命を縮める

入れ歯にしないと残った歯に圧力がかかる

歯は噛みあわせる際に、全体にかかる咬合圧を分散しています。

本数が減れば、それだけ残存歯に圧力が大きくかかることになってしまうのです。

また、残った歯ばかりで噛むようになれば、その部分ばかりに偏った咬合圧がかかることにもなってしまいます。すると、健康だったはずの残りの歯の寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。

 

2.歯並びが変化し、口元の見た目が左右非対称になる

歯が無いままの状態が長く続くと、喪失部両側の歯がそのスペース側に寄る傾向にあります。そして歯並びが徐々に変化してしまうのです。その空隙を埋めるため、さらに隣の歯も寄り始め、だんだん左右非対称な歯並びになってしまいます。

 

3.虫歯や歯周病に罹りやすくなる

歯が無くなった部分へ両側の歯が動く際、傾斜して寄ってくることがほとんどです。その影響から歯の根元に隙間が生じたり、歯と歯の間に空隙ができたりすると、そこに汚れがたまりやすく虫歯や歯周病の原因になってしまいます。

 

4.咀嚼能力が低下することにより体のバランスを崩しやすい

転倒するリスクがあがる

歯が無くなると、当然すべての歯が揃っていた時に比べて咀嚼能力が低下してしまいます。

特に奥歯の噛む力は重要で、入れ歯を使用しないと転倒するリスクが2.5倍高くなるというデータがあります。下顎が不安定になり、体のバランスを保つことが難しくなるのです。

特に高齢者は歯を喪失している割合も高くなりますから、転倒事故なども考慮して、入れ歯を外したままにするのは避けましょう。

 

5.歯のないところがへこんでシワが増える

口元は、歯や歯茎があることによってハリが出るようになっています。ですから歯が無いと、外から見たときにハリが無くシワになってしまうため、実年齢よりも老けてみえる原因となってしまいます。

入れ歯を入れることで、顔貌を若々しく保つことにもつながるのです。

 

合わない入れ歯を入れておくことで痛みや不具合があるからといって、外したままにしていると、さらに歯ぐきが痩せてしまい入れ歯が入れられなくなってしまうこともあります。

できるだけ早くかかりつけの歯科医院に相談し、入れ歯を外している期間が長くならないようにしたいものです。

 

6.噛み合うはずの反対の歯が伸びてくる

部分的に歯を失ってしまった場合、そのまま放置しておくと、噛みあう相手が無くなってしまった対称の歯が伸びて出てきてしまいます。その結果、歯の根っこが露出してしまい、知覚過敏症の原因にも繋がってしまいます。

また、失った部分の両隣の歯は、歯の無い部分側へ寄ってきたり斜めに倒れてきたりと動いてしまうこともあります。

歯を失ってしまったら、そのスペース部分を1日も早く補ってあげる必要があるのです。

 

7.口内を噛んでしまいやすくなる

口内を噛んでしまいやすくなる

歯を失ったことで空いたスペースには、食事の際などお口を動かす場面で頬の肉や舌が入り込みやすくなってしまいます。そこで、食事中や会話中に思わず誤って噛んでしまうことが多くなり、できた傷から口内炎が発生することを繰り返しやすい環境になってしまいます。

これに関しても、1日も早く空いてしまったスペースを補う治療が必要になります。

 

8.発音が悪くなり、声の印象が変わる

歯が抜けたままになっていると、その部分から空気が漏れてしまいます。特に前歯を失ってしまった場合は、会話の際に空気が抜けると発音がしづらくなります。

しゃべりづらいと相手も発音をききとりにくくなりますし、これにより声の印象も変わってしまいます。仕事上対話を必要とする場合などは特に不便ですので、なるべく早く、失った部分を補うための治療を受けられることをおすすめします。

 

 

今の入れ歯はどうしても使いたくない!調整or作り替えを検討するなら……

今使用している入れ歯をどうしても使いたくないという場合、外したままにしておくのではなくまずは歯科医院に相談しましょう!

その際、調整するのか作り替えるのかを検討する際の流れを考えてみましょう。

 

1.まずは徹底的に歯科医院で調整を

まずは徹底的に歯科医院で調整を

調整は入れ歯を作製した歯科医院がベター

入れ歯を作製した歯科医院に入れ歯を持参し、今のお口の状態に合うように調整を施してもらいましょう。お口の記録や作成記録が残っている方が安心ですしスムーズです。

お口の中はデリケートで、入れ歯を外していた少しの期間に環境が変化していれば合わないと感じることもありますので、合わないと感じたら早めの受診をおすすめします。

 

「調整」ってどんなことをするの?

まずはどこがどのように不具合があるのか、患者様が不都合に感じていらっしゃるところをお聞きします。そして、その部分を確認し、お口の状況(赤くなっていないか、口内炎はできていないかなど)を確認し、不適合部分に入れ歯が強く当たっていないか、隙間ができていないかなど、噛み合わせのチェックをおこないます。

強く当たっている部分は入れ歯を削って歯茎との当たりを滑らかにしたり、隙間ができている部分には材料を盛り足したりして調整します。

ただしこれは保険内で作製した入れ歯の場合の調整です。自費の材料によってはこの方法での調整ができないものもたくさんあります。

 

調整後、1週間は様子を見ましょう!

調整すると、ここ最近の使用感とは変わった感じがあるはずです。特に隙間があった部分に入れ歯の床が盛り足された場合は、当たっていなかった部分に人工物が当たるのですから、違和感を覚えることでしょう。

お口の中はデリケートですから少しの変化でも違和感を覚えますが、慣れるのも早いです。1週間程度は様子をみてください。それでも違和感や痛みが続くようでしたら、再度歯科医院に連絡しましょう。

もちろん激しい痛みや、当たることによって出血などのトラブルがあるといった場合にはすぐに連絡して対処してもらうようにしてください。

 

どう調整しても違和感が消えない場合

何度入れ歯の調整を繰り返しても違和感が消えない場合は、作り替えをしたほうがよいのかもしれません。入れ歯を外していた期間が長ければ長いほど、お口の変化が大きくて合わなくなっていることがあります。

入れ歯自体も、ある程度の調整は削ったり盛り足すという作業でできますが、調整でできることに限界があります。入れ歯の材料の性質上、強度を保つことを考えると、あまり薄くできないのです。

 

2.もし作り直すなら自費入れ歯がオススメ

もし作り直すなら自費入れ歯がオススメ

もしも既存の入れ歯に不満を感じ、入れ歯を作り直すことになった場合、「もっと違和感のない入れ歯にしたい!」とお考えなら、自費の入れ歯をオススメします。

そこで、自費の入れ歯をオススメする理由とメリットなどをご紹介します。

 

保険適用の入れ歯は素材が限定されてしまう

先にご紹介したように、保険適用の入れ歯の調整には限界があります。

保険で作製する入れ歯は、使用できる素材が決められています。「レジン」というプラスチックの素材が使用されており、この素材は強度を考えるとあまり薄く仕上げることが出来ません。どうしてもある程度の厚みが必要となり、それにより違和感を訴える方もいるでしょう。レジン床に馴染めないという方には、自費の素材での作り替えをオススメします。

 

注意!保険適用の入れ歯はいつ作った?

保険適用の入れ歯には、材料以外にも作製する上でのルールがあります。

保険適用で入れ歯を作ってから半年経過していない場合は、再度保険を適応して入れ歯を作り直すことができません。

保険の入れ歯をご使用中で、何度調整を繰り返しても違和感が消えない上に、作製から半年未満であるなら、我慢して使い続けるよりも自費の入れ歯を作り直すということも検討されてはいかがでしょうか?

 

自費の入れ歯は素材や工法が選択できる!

自費の入れ歯は、作製する際の材料を自身で選択することができます。さまざまな特徴をもった材料があるので、自身のお口の状況や好みに合わせて選ぶことができます。

また、自費の場合は保険適用の入れ歯のような決まりごとに縛りがないため、保証内容などは歯科医院でしっかり説明を受けましょう。

 

自費の入れ歯は違和感が少ない

自費の場合、素材が選べることはもちろんですが、作製する工程も保険適用の入れ歯よりも丁寧で精密です。ですから仕上がりもより自身のお口にピッタリと適合することが期待できます。

また、保険適用の入れ歯では感じにくくなる温感などもしっかり感じる素材が多く、食事も違和感なくできますし、見た目も限りなく天然の歯に近く仕上げることもできます。

お口への違和感だけでなく、噛みにくさや見た目の問題もなく使用できるためオススメです。

 

 

まとめ

歯が抜けたままの状態が長くなると、全身にさまざまなデメリットが生じてしまいます。

もしも作った入れ歯が合わない場合は歯科医院で調整することが可能です。

お口の中は日々変化しますので、自分のお口に馴染むよう、こまめに調整を行うものです。違和感を覚えたら、我慢して使い続けたり、外したままにしたりせず、歯科医院に相談しましょう。

2017.01.06更新

歯がないからこそ気をつける

総入れ歯を使用していて「どうせ自分の歯がないのだから、入れ歯だけきれいにしておけばいいだろう」と思っている方はいませんか?

そんなことはありません!実は歯が無くてもお口の中のケアはとても重要なことなのです。 今回、歯が無いことによって起こる口腔粘膜の危険性や行って欲しい口腔ケア法などについてご紹介します。

 

 

歯の無い方が、口腔ケアを怠る危険性とは?

入れ歯を外し、しっかり洗っているだけではダメなのです!口腔内粘膜のケアも施さないと大変なことが起こる可能性もあります。

そこで、歯の無い部分の粘膜にも歯ブラシを当てることの重要性をお伝えします。

 

1.お口の細菌が気管を通って肺炎をおこす

口の<p>最近から肺炎になる可能性

普段入れ歯と接している歯肉や上あごには、入れ歯と歯茎の隙間をかいくぐって侵入した食物残渣(食べ残り)や細菌が付着しています。

粘膜の清掃を怠り不潔なままにしておくと、汚れの中で細菌が繁殖し気管を通って細菌が肺へと侵入。それが引き金となり、肺炎を引き起こすという事態を招く恐れがあるのです。

 

2.歯茎への刺激がないと退縮し、入れ歯が安定しづらくなる

歯茎の収縮で入れ歯が入れずらくなる

歯茎に歯が無くなり、入れ歯が乗っているだけの状態では刺激が伝わらないため、歯茎の退縮が起こりはじめます。

歯茎の盛り上がり(顎堤)が少なくなると入れ歯を安定させる吸着力が働きにくく、作成した入れ歯と形も合わなくなり、安定しづらくなってしまいます。

 

3.唾液が減少し、粘膜の免疫力が低下する

唾液には、体内に侵入しようとするウイルスや細菌の活動を抑制する抗菌作用によって身を守る「免疫システム」があります。

歯茎が歯ブラシによる刺激を受けないでいると、唾液の分泌量が低下し、粘膜の免疫力が低下してしまうのです。人間が持つ優れたこのシステムも、お口の中が不潔のままでは機能してくれないのです。

 

 

総入れ歯の方に行ってほしい口腔ケアの手順

総入れ歯の方の口腔ケア

では、入れ歯を使用している方はどのように口腔ケアを行えばよいのでしょう。ケアを怠るリスクが多い「総入れ歯」の方に、ぜひ行ってほしい口腔ケアをご紹介します。

 

1.口腔ケアの必需品

入れ歯を外した状態の口腔内は、やわらかい口腔粘膜だけになっています。通常の歯ブラシでは刺激が強すぎて粘膜を痛めてしまうおそれがあります。

歯ブラシを使用する場合には毛先が柔らかいものを選びましょう。他にも棒の先にスポンジが付いたケアスポンジや、指に巻いてふき取るタイプの口腔ケア用ウェッティー、舌ブラシなどがあります。

 

2.口腔ケアを行う前の確認

もしも口腔内が乾燥していたら、清掃道具で粘膜を傷つけてしまうこともあります。また、汚れもこびりついてなかなか剝がれにくくなっています。

その場合には清掃前にブクブクうがいを行い、お口の中を十分に潤しておきましょう。保湿ジェルやスプレーでマッサージしながら保湿するのも、唾液の分泌を促しますので効果的です。

歯茎を刺激すると、マッサージ効果で血行もよくなり、元気な歯茎を保つことにもつながります。

 

3.粘膜の清掃

ケアスポンジや、ケア用ウェッティーなどを水で浸して準備します。そして頬の内側や頬と歯茎の間、唇と歯茎の間、上あごの義歯床が当たる部分、歯茎の土手(顎堤)などをマッサージするようにしてやさしく磨きます。

舌の表面には舌苔が付着しますので、舌ブラシでやさしく擦るようにしましょう。

 

 

まとめ

正しいケアを歯科で確認

入れ歯の清掃は外して行えるため、気にかけて清掃する人が多いと思います。

その反面、入れ歯と接している口腔内粘膜のケアは忘れがちですが、外した入れ歯の汚れ具合と同じぐらい汚れていると考えましょう。細菌の繁殖による健康への悪影響や、入れ歯が入れられなくなるような口腔環境の悪化を招くおそれがあります。

また、定期的に歯科検診を受け、入れ歯の適合チェックや口腔内の状態チェックもしてもらいましょう。

2017.01.05更新

口の渇きと入れ歯の関係

「入れ歯を使うようになって、なぜか口が渇いてしまう」という声を耳にします。確かに唾液の分泌量は年齢とともに少なくなってしまうということもありますが、入れ歯を入れたことも唾液量に関係することがあるのでしょうか?

そこで今回、お口の渇きと入れ歯の関係性をご心配の方に、お口が渇く原因や改善方法をご紹介します。

 

 

入れ歯を使用していて口が渇く理由は?

口が渇くさまざまな原因

口が渇いてしまう原因は、加齢によるものだけではありません。薬の副作用やほかの疾患の症状のひとつとして現れることもあります。 このようにさまざまな要因が考えられますが、入れ歯が関連して起こる口渇の要因は以下のような事柄です。

 

1.入れ歯が大きすぎて唾液腺をふさいでいる

唾液はお口の中にたくさんある「唾液腺」という穴から分泌しています。大きすぎる入れ歯を使っていると、必要以上に唾液腺を塞いでしまう恐れも。

たとえば舌の裏の筋付近や、下の奥歯あたりには大きな唾液腺があります。入れ歯を支える義歯床が大きすぎると塞いでしまう可能性があります。

 

2.噛むための筋肉が衰えてしまう

食事イメージ

人は「噛む」という機能を使うことによって唾液腺を刺激します。唾液腺周辺の筋肉が動くことによって唾液を押し出すのです。噛む回数が少なく筋肉が衰えてしまうと、唾液の分泌も少なくなり、唾液腺自体の機能の衰えにもつながってしまうのです。

また、入れ歯が大きすぎて舌の納まる空隙が狭くなり、舌の動きが悪くなってしまうと舌筋が衰え、唾液の分泌を阻害することにつながります。

 

3.入れ歯が合っておらず、ストレスになっている

入れ歯がストレス

緊張すると口の中が渇く現象。これは交感神経が優位に働くために唾液の分泌を抑制してしまうことによって起こります。合わない入れ歯を使っていることがストレスとなり、交感神経優位の状態が続くことで唾液が減っていることも考えられます。

 

 

ドライマウスがもたらす悪影響とは?

ドライマウスの悪影響

口が渇く症状を「ドライマウス」といいます。この症状はお口の中でさまざまな悪影響を引き起こす要因となってしまいます。どんな悪影響があるのでしょうか?

 

1.細菌が繁殖し、虫歯や歯周病、口臭の原因になる

口の中の殺菌のイメージ

唾液には「自浄作用」や「殺菌作用」があり、お口の中の細菌の活動を抑える働きがあります。唾液の分泌が少ないと細菌が繁殖し、虫歯や歯周病になりやすい環境となってしまうのです。 歯周病が重症化してしまうと膿が溜まったり、深くなった歯周ポケット内の汚れが腐食したりすることによる口臭が発生することにつながります。

また、口臭の原因となる「舌苔」も、唾液による自浄作用が働かないため乾燥し、強い口臭の原因となってしまいます。

 

2.歯茎と入れ歯がこすれて傷つきやすくなる

乾燥によって口内炎がなおりにくい

唾液は、自浄作用や殺菌作用の他に、口の中の「潤滑材」としての役割も担っています。 唾液の分泌が少なくなり、口の中が乾燥した状態のまま入れ歯を使用していると、入れ歯と粘膜が擦れて傷ついてしまいます。

この傷から口内炎になり、本来なら唾液が口内炎を治す上でも働くのですが、その効果も少なく逆に細菌が活発化しているため、口内炎ができやすく治りにくいという悪循環を招いてしまうのです。

 

3.入れ歯が安定しにくくなる

入れ歯の中でも特に総入れ歯に関しては、歯ぐきと接する部分である「義歯床」と歯ぐきの隙間に唾液があることによって吸着し安定する作用があります。ですから唾液が少なくなって口の中が乾燥した状態になると、入れ歯がなかなか安定せず、外れやすくなってしまいます。

 

 

唾液量を増やし、口の渇きを改善する8つの方法

では、唾液量を改善し、口腔内の状態や入れ歯の使い心地を良好に保つにはどうすればよいのでしょうか?

 

1.入れ歯を調整してもらう

歯科医イメージ

まずは歯科医院で原因となっている入れ歯を調整してもらいましょう。大きすぎて唾液腺を塞いでしまっている部分の床を削ったりといった対処を施します。

 

2.唾液腺のマッサージを行う

長期間お口が渇く状態であった場合、唾液腺自体が衰えている可能性も考えられます。そこで唾液腺を刺激して唾液の分泌を促す、マッサージをおこないましょう。

唾液腺には「3大唾液腺」と呼ばれる大きな唾液腺があります。耳の下あたりの「耳下腺」、舌の下にある筋あたりにある「舌下腺」、顎の下あたりにある「顎下腺」です。これらを外側から指で押さえて、刺激を与えてみてください。

 

3.歯科医の指示のもと薬の変更や人工唾液を使用する

歯科医の説明

常飲している薬の影響で唾液が少なくなっている場合、変更可能な薬があれば主治医に相談してみるのも改善方法のひとつです。

どうしても変更できない薬の場合もあるでしょう。そのような場合には「人口唾液」を活用し、口の中の潤いを保つ方法もあります。種類もジェルタイプやスプレータイプなどさまざまで、ドラッグストア等で購入でき、比較的簡単に使用することができます。

ただし使用の際には、かかりつけ歯科医に必ず相談するようにしましょう。

 

4.1日3食、よく噛んで食べる

よく噛んで唾液腺を刺激

唾液の分泌を促すためには、唾液腺を刺激することです。そのひとつが「よく噛む」ということ。

 

入れ歯になると、自身の歯で噛んでいたときよりも噛みにくくなります。そのため、入れ歯の部分を避けて他の歯で噛んだり、以前より噛む回数が減ってしまったりという方も多いようです。

噛む回数が減ることによって唾液の出る腺が委縮されてしまい、唾液が出にくくなってしまうという報告もあります。

 

お口を動かすことで唾液腺を刺激し、良い唾液をどんどん分泌できるよう、1日3食よく噛んで食べることを心掛けましょう。

 

5.ストレスをためない

リラックス状態が唾液を分泌

唾液は体の状態によって、分泌される量や性質に変化があります。

たとえば、イライラしたり興奮したりという精神状態のときには、交感神経が優位になっており、唾液は粘液性のネバっこい唾液が出ます。

逆に精神状態が落ち着いておりリラックス状態のときには、副交感神経が優位になることで漿液性のサラサラな唾液が出るのです。

 

この特徴を考えると、常に体にイライラや興奮などが「ストレス」として長期に渡り掛かっている場合、交換神経が優位的に働く時間も長くなります。そして唾液の分泌量が少なくなって口が渇きやすくなるということに繋がるのです。

 

6.こまめな水分補給を心がける

こまめな水分補給を心がける

お口の渇きを潤すための対策として、こまめに水分補給することで補うというのも方法のひとつです。

飲み方として、一度にたくさん摂るのではなく、1回にコップ1杯程度(150~250ミリリットル)の量を1日のうちに6~8回に分けて飲むようにしましょう。1日の必要量の目安としては、1.5リットルのペットボトル1本が目安です。

朝起きたとき、通勤して職場に付いたとき、昼食のとき、スポーツするとき、入浴後、就寝前など、自分で1日の中でポイントを決めて飲むタイミングを作るのもよいでしょう。

 

7.口呼吸の癖を改める

本来、人間は正常時に鼻で呼吸をします。しかし様々な要因から口で呼吸をするクセのある方は、お口が常に渇きやすい環境です。また、口呼吸によって就寝時のいびきの原因になることもあります。

 

口呼吸を鼻呼吸にするためには、日頃からお口の筋肉を引き締めて閉じる力をつける体操でトレーニングをおこなってみましょう。就寝時などの意識できないときは、市販されているお口を閉じるテープを利用するのもよいでしょう。

また、鼻づまりの疾患で口呼吸になっている場合は、治療を受けて口呼吸が改善するようにしましょう。

 

8.会話を楽しむ

会話を楽しむ

「おしゃべり」はお口をよく動かしますので、唾液腺を刺激して唾液分泌を促します。

たとえば日中ひとりで過ごすとします。口を動かさずに黙々と仕事や家事をこなしている間のお口の中は、寝ている間と同じで唾液の分泌量が低下してしまうのです。

仲間との楽しい会話はストレス発散にも繋がるため、リラックス状態の副交感神経が働き、唾液の質も良いものがたくさん分泌されることにもつながっています。

 

 

それでも改善しないなら、身体の病気が原因のことも

ほかの病気が原因かも

もしも、さまざまな要因を改善する努力をしてもお口の渇きが気になる場合は、何らかの病気が関連しているのかもしれません。

身体の病気によって口が渇くという症状が見られるものや、飲んでいるお薬の副作用の可能性もありますので、気になるようでしたらかかりつけの病院で相談されてみてください。

 

1.病気の症状として「口が渇く」という症状を持つ病気

  • ・糖尿病
  • ・シェーグレン症候群
  • ・甲状腺機能亢進症
  • ・肝硬変
  • ・腎臓病
  • ・慢性膵炎

 

これらは病気の症状のひとつとして「口が渇く」という症状が現れることがあります。

必ずしも現れるというわけではないものもありますが、口の渇きが気になり原因が解らないことでお悩みの場合、病院で診察を受ける際の参考にされてみてください。

 

2.薬の副作用によるもの

  • ・高血圧の薬
  • ・花粉症の薬
  • ・精神疾患の薬

 

病気の治療のために常飲しているお薬の副作用として「口が渇く」という症状が現れるお薬があります。

しかし、そのお薬を自己判断で飲むのを辞めることだけは避けてください。

お薬を変えたり量を変更したりできる場合もありますので、担当医とよく相談の上、改善策を考えるようにしましょう。

 

 

まとめ

唾液は殺菌作用や自浄作用、潤滑作用などさまざまな機能的働きを兼ね備えています。合わない入れ歯の使用がこの作用に弊害をもたらしているのであれば、入れ歯を調整するなどして問題解決することが重要です。

ただし、何が原因で口が渇くのかということを自己判断するのは禁物。必ずかかりつけ歯科を受診して診断を受けるようにしましょう。

2016.12.13更新

2017.4.18更新

痛くなりにくい入れ歯って

「入れ歯が口内に当たって痛い」、「何度も口内炎を繰り返す」というような症状でお困りの方はいらっしゃいませんか?

調整をして歯ぐきに当たる部分を削るにしても、入れ歯の強度を保つことを考えると限界があります。

そこで今回は、なかなか入れ歯の素材に慣れない方や、痛みでお悩みの方にお勧めの「シリコン義歯」をご紹介します。

 

 

シリコン義歯とは?

シリコン義歯とは、歯ぐきと接する部分である義歯床の一部がシリコンでできている入れ歯です。

素材にもいくつかの種類がありますが、コンフォートというシリコンがよく使われています。

通常の入れ歯の義歯床に比べて柔らかいため、「入れ歯が当たって痛い」とお悩みの方にはおすすめです。

また、今使用中の義歯をそのまま利用し、一部シリコンに改修することも可能です。

 

 

シリコン義歯を使用するメリット

食事をする女性のイメージ

 

 

1.入れ歯が口内に当たる際の痛みが軽減される

歯ぐきと接する部分がシリコン素材になることで、クッションの役割を果たします。

固い義歯床が歯ぐきや口内の粘膜に当たって痛むという不快感や、トラブルを軽減することができます。

 

 

2.痛みが少ないため、よく噛めるようになる

固い義歯床では、食べ物を噛むときなどに圧力がかかると、さらに痛みを感じやすくなってしまいます。

そこでシリコン素材にすることで、圧力が軽減し痛みが少なくなります。

入れ歯にしてから食事がストレスになっていたという方も、食欲が以前のように復活するかもしれません。

 

 

3.吸着力があり、あごの骨が少なくてもフィットする

シリコン素材は、通常の義歯床と比べて適度な弾力感があり、歯ぐきとしっかり吸着します。

顎の骨が吸収されて少なくなり、顎堤(歯茎の盛り上がった部分)がない場合でも入れ歯が比較的安定しやすくなります。

 

 

シリコン義歯なら痛くなりにくい理由

このようにシリコン義歯には様々なメリットがあるのですが、痛みを感じにくいというのは魅力的ですよね。この、痛みにくさの理由について、深く見ていきましょう。

 

 

1. まずは入れ歯が痛む理由を知りましょう!

シリコン義歯が痛くなりにくい理由を考える前に、保険適応のレジン入れ歯で痛みを感じることがある理由を考えてみましょう。

「噛む」という動きには、大きな圧力がかかります。

通常、歯の根っこがある天然歯の場合は、歯を支える骨と歯の根っこの間にある「歯根膜」がクッションの役目を果たすため、衝撃がダイレクトに伝わることはありません。

しかし入れ歯の場合は、噛む圧力が歯茎に直接かかることになります。プラスチック素材で硬い「レジン床義歯」と、顎の骨の間で歯ぐきが圧迫され、痛みを感じやすくなるのです。

 

 

2. 痛みを感じるメカニズムを解消することができる

そこで、レジン床義歯のデメリットである「硬さ」を解消したのがシリコン義歯の最大のメリットです。

シリコンの柔らかさがクッションの役割を果たすため、噛んだ時の圧力を緩和して痛みを感じにくくなります。

レジン床入れ歯によって歯ぐきが血流障害を起こすといったトラブルも少なくなるでしょう。

 

 

シリコン義歯・取り扱い上の注意点

定期的な調整と毎日の清掃が大切

通常の義歯よりもメリットが多い義歯のように感じられるシリコン義歯。

しかし、デメリットともいえる部分もあります。

使用するうえで気を付けなければならない注意点も認識しておきましょう。

 

 

定期的な調整が必要

入れ歯はどのタイプであれ、どうしても顎の骨が徐々に痩せて顎堤が低くなってしまいます。

いくら吸着力が高いとはいえ、いずれは合わなくなってしまうことが多いです。

そのため定期的な調整が必要になります。

 

 

金属床と比べると汚れがつきやすいことも

シリコンは分子的に疎なため、金属の床に比べて汚れが付きやすい素材です。

清掃を怠って汚れたまま装着していると、取り除くことが困難になり歯周病などにも繋がります。

そのため毎日こまめに清掃することが必要となります。

 

 

入れ歯が若干厚みを増す

従来の入れ歯よりも、シリコンを加えたことで噛む力が増すことが予測されます。

その咬合力に耐えられるよう、入れ歯本体の強度も確保しなければなりません。

そこで厚みを少し増やすような対策をとることがあります。

 

 

シリコン義歯ができるまでの流れ

次に、シリコン義歯が完成するまでの流れを確認しましょう。

 

 

1. お口の型取り

精密な入れ歯を製作するために、まずは患者個人専用の型枠から作っていきます。お口の状態を診査し、歯列に合わせて上下の歯型を採ります。

 

 

2. 専用トレーで歯型採り

1回目の歯型採りで製作した専用トレーで歯型を採得し、患者の口腔内を精密に再現した石膏模型を製作します。

また、ワックスを用いて噛み合わせも採得しておきます。

 

 

3. 噛み合わせを検討し決定する

出来上がった作業用の石膏模型とワックスで採得した咬み合わせを使用し、入れ歯で重要になる噛み合わせの位置や高さを検討します。

 

 

4. 仮の入れ歯でチェックをおこなう

噛み合わせの位置や高さを決定したら、蝋で作った仮の入れ歯を製作し、患者に装着して確認してもらいます。

 

 

5. 適合状態の確認をおこなう

蝋で確認した後、実際にシリコン義歯を製作します。

そして再度患者の口腔内に装着し、噛みしめた状態のときに圧力が均等にかかっているかどうかの適合制度を確認します。

浮いている部分が無いか、均等に圧力がかかっているかなどを確認して完成です。

 

 

作成にかかる費用はどのくらい?

費用はどのくらい

費用は保険外のため、歯科医院によって金額に差があります。

シリコンを貼り付ける料金として、10~20万円(上下どちらか片方につき)が相場です。

義歯製作費用は別途かかりますのでご注意ください。

 

 

まとめ

シリコン義歯は、入れ歯の義歯床による痛みにお悩みの方にはぜひおすすめしたい技法です。

保険は適用外になりますが、まずは今使っている入れ歯をシリコン義歯に改修できるのかどうか、入れ歯専門医に相談してみましょう。

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